*All archives   *Admin

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2007.11.01 (Thu)

真夜中のアブ(前編)

おはようございます!

今日の小説は、ちょっと作風を変えまして・・・

今まで青春ものを書いていたのですが
今日の小説「真夜中のアブ」は、主人公が35歳です。

仕事では係長、上司と部下に挟まれて、毎日単調な生活を送るサラリーマンです!

そんなサラリーマンの主人公の前に現れた1匹のアブ・・・


ちょっと新しいジャンルに挑戦してみました。

それではどうぞ~

【More・・・】

最近、決まった時間に聞こえる虫の羽音
耳について離れない
嫌な音だ・・・・


夜中の1時、きっかりに現れる
奴の正体は一匹の大きな「アブ」


その虫自体は別に珍しいものでもなにもない
普段、どこでも見かける普通の虫
けど、俺の家にいるアブは別だ
昼間は絶対に俺の部屋に現れない
やつが出てくるのは決まって夜中の1時だ



奴の出現のせいで、俺は寝不足だ
1回目は気にしなかった
2回目も無視した
けど、さすがに3回目になると耳障りで仕方がない
夜中だというのに俺は雑誌を振り回して
アブを追いかけた
でも、意外と動きがすばやくて、やつを捕らえることができなかった

さすがに4回目以降はあきらめたが
あの羽音を聞くと目が覚めてしまう


普通の音と違う
なんというか不気味・・・・というのが正しい表現だと思う

いつの間にか音は聞こえなくなって
俺も眠りについている
気がつけば朝になっている
そういう毎日だ


奴がでてからというもの
小さい事故にばかりあっている気がする
おとといは階段から足を踏み外して落ちてしまった
昨日は車の運転中に猫をひいてしまった
今日は何が起こるのか
正直不安で仕方がない


俺は今年35歳になった
今の会社には不満しかない
確かに固定給をもらえて
年齢がいっている分、役職にもついているが
仕事に張り合いがない

数年前までは、仕事が楽しかった
出来のいい部下と、話をよく聞いてくれる上司
仕事も任されて、自分の好きなようにやっていた

けれど、今の上司が来てからというもの
うちの会社は変わってしまった

今まではどちらかというと、仕事のやり方は職員に一任されていた
会議も、多くの意見を交換した
どうすれば会社がもっとよくなるのか
みんなが真剣に考えていた


今は違う
ガチガチの管理体制の中で
上司に言われたとおりに動かなければならない
細かいことを言えば
パソコンの操作の仕方
書類の保存の仕方など、こまかくてどうでもいいことにまで口を出してくる

最初は反論もした
けれど、そのたびに「お前が考えることじゃない!」といわれ続けた
そうこうしているうちに、俺も立派なサラリーマンになった
今では上司に口答えをすることもない

不本意でも、上司に言われたことをこなす
正確に言えば、上司に言われたこと以外はやらない

何かをやって、上司に小言を言われるのはごめんだからな・・・・




まただ・・・・
寝ていてもこの音が聞こえると目が覚める
そんなに大きな音じゃないはずなのに
耳について離れない

いったい、奴はなんなんだ
なんで俺の部屋にでる
そしてなんでこの時間なんだ・・・・

奴は・・・奴は俺の疫病神かなにかなのか?


「まっさか~おまえ夢でも見てるんじゃねぇの?」

「夢じゃない!確かに出てくるんだあいつは、同じ時間に毎日」

昼休み、食堂でメシを食っていた俺の隣に、同期入社の中沢が座った
話は上司の悪口にはじまり、いつの間にか俺の部屋にでてくる「アブ」の話になった
もちろん中沢は信じない
当然といえば当然だけど


「本当なんだよ・・・おかげで寝不足だ・・・奴のせいで今日はミスも多かったし・・・疫病神なんだろうか・・・」


「はは、お前って見えないもの信じるよな、結構。もしかして、そのアブってあのアホ上司の分身だったりして」


中沢は妙に納得して首を立てに振った
冗談でもそれはやめてくれ
家にまであの上司が来ていると思うだけで身の毛がよだつ・・・・


「冗談だって!お前って本当そういうとこまじめだよな!あ、そうだ!なんだったら俺が確かめに行ってやるよ。今日お前んち泊めろ?な?」


半ば強引に中沢は俺の家に泊まることになった
まあ、いいか。これで俺がうそをついていないという立証も出来るわけだし



「よ!邪魔するぜ?」


「今何時だと思っている・・・・泊まりに来るって言うから待ってたんだぞ!」


「悪ぃ、悪ぃ!俺に話があるって鈴田さんに呼び止められてさ」


「鈴田が?おまえに?何の用事だよ・・・・まあ、どうでもいいけど」


すでに酒が入っていた中沢は、隣の部屋に入ったとたん眠ってしまった
これじゃ奴が来ても気づかないんじゃないのか?
たく、役に立たないやつだな・・・・・


時計の針が夜中の1時を回った・・・・
奴の羽音が聞こえる
けど、俺が今寝ている部屋にはこない
じゃあ、どこに・・・・


「やめろ!!くるな!!あっちに行け!!」

隣で寝ているはずの中沢の声が聞こえる
言葉から察するにアブに襲われているのかもしれない
俺は、思い切って扉を開けた

そこには枕を必死に振り回している中沢の姿があった


「中沢?」


「・・・・・おまえか・・・・なんだ・・・あれ・・・」


そういうと中沢は布団に倒れこんだ
意識がとんで、眠りについてしまった・・・・
奴の音はもう聞こえなかった・・・・




気がつけば俺の部屋には朝日がさしていた
隣の部屋で寝ている中沢を起こして朝食を摂る
その間中沢は、アブとの出来事を全部話してくれた

夜中の1時ちょうど
アブは中沢の寝ている部屋に現れた

やつの羽音が聞こえて、すぐに部屋の電気のコードを引っ張ったのに
電気がつかなかったらしい
何度も試みたようだが無駄だったらしい

携帯電話を開いて、そのわずかな光でアブの姿を探した
奴は部屋の真ん中を円を描くように飛んでいたらしい

近くにあった雑誌をもってアブを叩き落そうとしたが、なかなかその姿を捉えることができなかった

少し疲れて、布団に腰を下ろして休憩しようとしたところに
アブが飛んできて中沢を襲ったらしい

何度も手で払ってもしつこくつきまとう
刺されないようにその辺にあったタオルを振り回すが、さっきと同様
絶対にアブには当たらない

そのうちに気を失ったというわけだ・・・・・


「俺・・・目に見えないものは信じない主義だけど、あれはただのアブじゃないな」


「じゃあ、どんなアブだよ・・・・」


「幽霊とか、そんな類のやつじゃないか?」


普段の俺なら、中沢の今の言葉を一笑しているにちがいない
けれど、ここ最近の不運続き
決まった時間にしか現れないアブ

それを考えると、そういうこともあり得ると思ってしまった
しかし、なんで俺の部屋にそんなものが・・・・


「おまえさ、恨みとか買ってないか?」


「冗談いうな。お前じゃあるまいし」


「どういう意味だ・・・・」



朝食を済ませて、中沢と二人で会社に向かった
すれ違う庶務課の女の子と2、3言会話を交わして自分のオフィスに入る

げ・・・・あいつもう来てるのか・・・

あいつというのは、俺の上司
くそまじめで、細かくて、自分のことにはいい加減な薄らはげ
なんで、こんな早い時間から出勤してくるんだ
そんなに家にいるのがいやなのか?
それとも奥さんに追い出されているのか・・・・

どっちにしても迷惑なことにかわりはない
こいつがいるだけで周りの空気が重くなる・・・
あぁ・・・・やめてくれないかな・・・
俺の目の前から消えてくれればいいのに・・・・


『望みを叶えてやろうか?』

「は・・・?」

声が聞こえる方向を振り返ってもそこには誰もいない
それに、聞いたことのない声だった
望みを叶える・・・・?

幻聴か?やばいな・・・俺やっぱり寝不足で脳みそが働いていない
中沢の言うとおり、あれは幽霊なのか?しかも悪質な・・・・


だめだ・・・ちゃんと目を覚まさなければ・・・


俺は給湯室で熱いコーヒーを入れた
少し濃い目に作って一気に飲み干す
これで少しは目が冴えるだろう・・・・


「おはようございます。こんなところで何をしてるんですか?」

「おはよう・・・別に、ちょっとコーヒーが飲みたくて」

「言ってくれれば私が作ったのに。これからは遠慮しないで言ってくださいね」

「別に・・・・気にしないで」

朝からトーンの高い声で話しかけてくるのは部下の鈴田
仕事はちゃんとするけど、こういう風に話しかけられるのは正直うざったい
ぶりっこっていうのか?こういうの
他の男はわからないけど、俺はこういうことする女は嫌いだ
けど、最近俺の周りをうろうろして邪魔以外の何者でもない
あのアブとそっくりだな、そう考えると


「コーヒーブラック党なんですね~私はミルクとお砂糖入れないと飲めないんですぅ」

「そう・・・」

「知ってますぅ?ここら辺にいい感じのカフェが出来たんですけど今度一緒に行きませんか?」

「別の人誘ったら?中沢とか・・・」

「・・・・・冷たいですぅ・・・・もしかして中沢さんから何も聞いてないんですか?」

「中沢から?」


そういえば、昨日俺の家に来る前に、鈴田に呼び出されたって言ってたな
興味もないからすっかり忘れてた
話って俺絡みのことだったのか?


「中沢さんにお願いして、私のことアピールしてくださいって頼んだのにぃ!中沢さんってば役に立たないんだから!!」

「そういう言い方はどうかと・・・」


あぁ、うざい!!
コーヒーくらい静かにゆっくり飲ませてくれ!
なんで俺は朝からこいつのぶりっこに付き合わないといけないんだ
悪いけど俺はお前にまったく興味がない・・・
いい加減態度で分かれ!頭の悪い女だな!!


『こいつも消すか?』


さっきの声がまた聞こえた
耳からじゃない
頭の中で聞こえるんだ・・・・・

いったい誰が・・・・



長かった1日も終わって俺は家に帰る
ネクタイを緩めて、そのままベッドに腰を下ろした
今日はなんだか疲れる1日だった・・・・


あのあと、上司は人の仕事に干渉してくるし
自分でやればいいのに、わけのわからない仕事をおろしてくるし・・・
帰り際にまた鈴田から飯に誘われるし・・・・

自分にとっていいやつばかりが集まればいいのにな・・・・
そうすれば仕事もやりやすいし、こんなにストレスもたまらない
現実問題、そんな会社ある分けないって分かってても
考えてしまうんだよな・・・




奴の羽音が聞こえる・・・・
え、ということは・・・・もう夜中の1時なのか?
やばい、いつの間にか眠ってしまったのか

今日は、俺の部屋にやつは現れた
けど、いつもと様子が違う・・・
羽音が、いつもより近くないか?


その音は、徐々に大きくなってきた
つまり、アブが俺に近づいているという証拠だ・・・・
今までこんなことなかった
どうして、今日はこんな・・・・


「うわぁぁ!!」

目を開けるとそこにはアブの姿があった
近くで見ても大きい真っ黒な体
不気味・・・・という表現が合っている

俺は近くにあった枕を手にとってアブに向かって振り下ろす
けどアブにはあたらない
信じられないが、枕はアブを通り抜けた
まるで幽霊のように・・・


「な・・・・・」

『おどろいたか?ふふ無理もないか・・・・俺には実体がないからな』


会社で聞いた声と同じ・・・・
ということは、このアブが俺に?


『今日ずっとお前に話しかけていたのは俺だ、お前の望みを叶えてやろう』


望みを?
なんでアブが俺の望みを叶えると・・・?

『最近、災難続きだよな?けど、どれも大事には至らないなぜか分かるか?』

「いいや・・・」


『それは、俺がお前を助けてやっているからだ!俺は、神の使いなのだ!』


「神のつかい?」






←後編へつづきます。

目次へ戻る→



line1.gif



ランキングに参加中です。クリックいただけるとうれしいです。
更新のはげみになります!




人気blogランキングへ

08:45  |  短編小説  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

★面白い!

サクラサル先生はもう新作を発表されたんですか!?
流石は北海道の産んだ文豪!

因みに私は夜中にゴキちゃんとバトルした事があります(笑)
大地オサム! |  2007年11月01日(木) 15:01 | URL 【コメント編集】

大地さんへ

そこまで褒められると恥ずかしいです・・・・
なんせ、この作品、結構前に書いたものなので。それも、家にアブが出たのがきっかけで・・・夜に旦那と二人で格闘したんですよ・・・

真夜中のゴキちゃんだったら戦えなかったかもしれません(^^;)
サクラサル |  2007年11月01日(木) 19:01 | URL 【コメント編集】

★新作だー

アブの声を聞いてしまった男…
文章量も増えた感じで、色々パワーアップ!?



N&E |  2007年11月01日(木) 22:02 | URL 【コメント編集】

N&Eさんへ

これ、前に書いていた作品をアップしたんです。なんとなく、青春もの以外も書きたくて・・・家に出たアブから妄想膨らませて書いたものなんです。
これからいろいろチャレンジしてみたいな~と思っています。
サクラサル |  2007年11月02日(金) 09:21 | URL 【コメント編集】

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

この記事のトラックバックURL

→http://aoironotoki.blog109.fc2.com/tb.php/157-2865d51a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。